茅で編んだ直径数メートルの大きな輪「茅の輪(ちのわ)」
全国のいろいろな神社で見かけることがあると思います。
この茅の輪のなかを通り抜ける「茅の輪くぐり」は、くぐることで、知らず知らずのうちに身についた厄を払い、心身を清めて、無病息災を願うものです。
「茅の輪くぐり」ができるタイミングは、基本的には決まっているものの、神社によってはそうではない場合も。
今回は、「茅の輪くぐり」はいつ行うものなのか?について一般的な時期をご紹介します。
それから、じつは「茅の輪くぐり」は1回ではなく、4回、8の字を描くように通るのがよいそうです。ご存知でしたか?
私は知らずに1回だけくぐって満足していましたー。後から知って後悔したので、前もって知っておくことをおすすめします!
ということで、茅の輪くぐりの方法や作法についてもご紹介していきます。
茅の輪くぐりは、いつからいつまで?
茅の輪くぐりは、毎年6月30日に行われる場合が多いです。
全国の多くの神社では、昔から、冬と夏の年2回、「大祓(おおはらえ)」という厄払いの行事が行われます。
6月30日は、夏の大祓である「夏越の祓(なごしのはらえ)」が行われる日。
もともとは「茅の輪くぐり」と「夏越の祓」は別の由来をもつ行事でしたが、同じように厄を払う意味合いがあることから、いつしか「夏越の祓」の行事の一つとして「茅の輪くぐり」が行われるようになりました。
「茅の輪くぐり」は、茅の輪をくぐることで、その年の半年の間についた穢れ(けがれ)や厄を払い、健康な身体でこれから迎える厳しい暑さを乗り越えようという思いが込められています。
昔は夏に疫病が流行り、体調を崩す人が多かったことから、初夏のこの時期に行なわれるようになったと言われています。
なので、「茅の輪くぐり」に最適なタイミングとしては、夏が本格化する前の6月30日ということになります。
6月30日は、全国の多くの神社で「茅の輪」が設置され、「茅の輪くぐり」ができるようになります。
多くの神社では、6月30日に神事が開催され、式典が執り行なわれた後、白い式服姿の宮司さんや神職の方々を先頭に、そのあとを一般の参列者が続くかたちで、順に茅の輪をくぐって通り抜けていくということが行われています。
ただ、この行事に出なくても、その前後(多くの場合は前の数日)に茅の輪が設置され、参拝者が自由に「茅の輪くぐり」ができるようになっている場合もあります。
その期間は各神社によってまちまちです。
さらには、6月30日ではなく、7月31日に「夏越の祓」と「茅の輪くぐり」をする神社や、年中「茅の輪くぐり」ができる江島神社などもあったりします。
数は少ないですが、神社によっては、年末の大祓の際にも「茅の輪くぐり」を行うところもあります。
そこで、代表的な神社について、「茅の輪くぐり」ができる期間を問い合わせて聞いてみました。神社ごとの詳しい日程はこちらの記事でご紹介します。
茅の輪くぐりをするときに知っておきたいこと
茅の輪って、ただくぐればいいと思いがちですが、そうではないんです。
茅の輪くぐりをするときに知っておきたいことが3つあります。
- 茅の輪くぐりの方法(作法)~回数や回る方向、またぐ足
- 茅の輪をくぐる際に唱えることば
- してはいけないこと
茅の輪の横に解説がちゃんとある場合が多いのですが、ないことも。
なので、知っておきたいことをまとめました。
順番に説明していきます!
茅の輪くぐりの方法(作法)
じつは、この茅の輪くぐり、1度通り抜ければいいというものではないだそうです。
神社によって少し違いはあるものの、一般的には、8の字を描くように茅の輪を4回くぐるといいと言われています。
次のように、茅の輪の左右を交互に回るようにして、4回くぐり抜けます。
そのとき、左回りのときは左足で、右回りのときは右足で、茅の輪をまたぐようにしましょう。(最後の4回目は左足)
1回め(左回り・左足)→2回め(右回り・右足)→3回目(左回り・左足)→4回目(まっすぐ直進してお参り・左足)の順番です。
引用元:箱根神社
一つひとつ丁寧に解説すると・・・
1回め(左回り)
- 茅の輪をくぐるまえに、正面でお辞儀をします。
- 左足で茅の輪をまたぎます。
- 左回りで茅の輪の左側を通って正面に戻ります。
2回め(右回り)
- 1回めと同じく、お辞儀をします。
- 今度は右足で茅の輪をまたぎます。
- 右回りでで茅の輪の右側を通って正面に戻ります。
3回め(左回り)
- お辞儀をします。
- 左足で茅の輪をまたぎます。
- 左回りでで茅の輪の左側を通って正面に戻ります。
4回め(まっすぐ)
- お辞儀をします。
- 左足で茅の輪をまたぎます。
- そのまま神社に向かって進み、お参り。
神社によっては、例えば、4回ではなく3回でOKなど、少し違う場合もありますが、調べてみると、多くの神社でこの8の字4回の回り方が推奨されていました。
茅の輪くぐりのときに唱えることば(唱え詞)
さらに、茅の輪をくぐるときには「唱え詞(となえことば)」をとなえながら回るのがいいとされています。
茅の輪くぐりの際の唱え詞としてよく使われているのが、以下のことばです。
【茅の輪くぐりの唱え詞】
水無月の 夏越の祓する人は 千歳の命 延ぶと云うなり
(みなづきの なごしのはらえするひとは ちとせのいのち のぶというなり)思ふこと みな尽きねとて 麻の葉を 切りに切りても 祓ひつるかな
(おもうこと みなつきねとて あさのはを きりにきりても はらいつるかな)蘇民将来 蘇民将来
(そみんしょうらい そみんしょうらい)引用元:諫早神社
上記の3つの句を、茅の輪を1回めにくぐるときに1つ目の句を、2回目のときに2つ目の句を、3回目のときに3つめの句をとなえていきます。
神社によっては、1つ目の句だけを唱える場合もあります。
(みなづきの なごしのはらえするひとは ちとせのいのち のぶというなり)
ほかには、茅の輪くぐりだけでなく神社のお参りなどのときにも使われる基本的な唱え詞をとなえることも。
【神社の基本的な唱え詞】
(はらへたまへ きよめたまへ まもりたまへ さきはえたまへ)
注意!してはいけないこと
茅の輪くぐりでしてはいけないことは、茅の輪の茅を引き抜いて持って帰ってしまうこと。
茅の輪くぐりには、くぐることで厄を落とす意味があります。
ということは、茅の輪にはたくさんの人の厄がうつっていると考えられていますので、これを持って帰ってしまうと、厄を持ち帰ってしまうことに。
これでは、せっかく心身を清めて無病息災を願ったのに、かえって逆効果。
茅の輪の茅を持ち帰るのはやめましょう。(一部の地域では持ち帰る風習があるようです)
神社によっては、お守りとして小さな茅の輪を提供しているところもありますが、これは他人の厄をうつしたものではないので、大丈夫です。
まとめ
「茅の輪くぐり」は、多くの場合、6月30日の夏の大祓の行事とともに、多くの神社で行なわれています。
昔は夏に疫病が流行したこともあり、本格的に夏を迎える前に、「茅の輪くぐり」をすることで、災いを払い、無病息災を願ったそうです。
最近では、40℃越えも珍しくないほど、夏の厳しさは増しています。
「茅の輪くぐり」で心身ともに清めて、元気に夏を迎えられるといいですよね!
ご参考になったら嬉しいです。